RETTUNGSDIENST

ベルリンの救急車のサイレンは驚くほどうるさい。すっかりうまく驚かされているわけで、サイレンの目的からすれば実に優秀ということになる。真横を走り抜けるとき、子供も大人も両手で耳をすっぽり隠すのをよく見かける。わたしもいつも、そうしてしまう。そのとてつもない音量が、誰かを救う信念の大きさに関わるわけでもない。けれどベルリンの日々の暮らしのなかで、誰かに助けてもらうことは本当によくある。

いつかのスーパーで冷凍パエリアを買おうとしたときのこと。高い棚の、そのずっと奥の方に、最後の青い2箱が見えた。ひとつは背伸びして手に取ることができたけれど、もうひとつはジャンプしたって難しい(実際に跳びもした)。わたしはちょっと待つことにしようと考える。きっと誰か近くに来るでしょう、お店の人でなくても、お客さんでも。いつもみたいにヘルプをお願いしてみよう。その日、空きすぎている広いスーパーで困るのは、困っている姿を見つけてもらえないことであると知った。

Categorised as Photo