『マルホランド・ドライブ』ーありえる別の世界へー
デヴィッド・リンチ2001年の作品『マルホランド・ドライブ』。この映画は描かれるどちらの世界が現実でどちらが夢だとか、どちらが過去でどちらが未来だとかいうものではない。世界は一面的に存在するのではなく、同時にいくつかの層の存在可能性を秘めている。ジル・ドゥルーズの「クリスタル・イマージュ」を引用しながら、識別不可能なリンチ世界を考察する。子供の頃、よくこんな遊びをしたものだ。「フルーツバスケット!」ーその掛け声とともに全員が起立、参加人数よりひとつ少ない椅子を巡って大移動。作品に出てくる青い箱は、きっと同じ作用を持っている。どちらが嘘とか本当でもない、すべてがありえる状況であり、すべてが遊びのようなもの。どの椅子に座れるか、もしくは座れないで鬼になるか。それはその都度なにかの具合で決まるというだけなのだ。
09/2017
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