さよなら、の季節

このころ、別ればかり。入れ替えに出会いがあるといえばそうだけど、ごまかせない時の流れを感じてしまう。14年来のBOSCHの洗濯機が壊れた。すこし前から使うとひんひん鳴いていて、がんばれーがんばれーと声を掛けて見守ったことも数回。ある日ENDマークで扉を開けたら、裾のほんのり湿ったシャツが飛びだした。え!乾燥までしてくれるようになったの!?ーあるわけないのに、混乱して幻を信じた。音はしてたし洗濯してると思い込んでいた。きっとB本人だって裏切られた気持ちだったはず。懸命に走ってるつもりなのに、ほとんど前に進めてない人を見た感じ。誰のことだとしても、切なすぎる。

よりによってなんで今なの。家の中のいろいろのモノが、みんなで相談して壊れ始めているのかも。前日には、3週間前に壊れて、1週間待って取り付けなおされたキッチンのロールカーテンが、頭の上に落ちてきた。ただのヒューマン・エラーで、モノは悪くない。むしろわたしが壊れなかったことに感謝するくらいで、ベルリンには珍しく、電話したら翌日に点検のアポイントメントが取れた。

ひと月前に来たおじさんが来るというので、梯子が通りやすいよう玄関を整頓しながらチャイムを待った。するとオンタイムに携帯が鳴って「えーっと、家どこだっけ!ここ、合ってる??」と素っ頓狂な声がする。わたしは冷静だ、「とてもベルリン」だったから。下まで迎えに行くと伝えて外に出たら、彼は高い高い梯子を抱えてアパートの前をうろうろしていた。

「3月末にも来てくれましたね?」明るく聞いてみる。どうみても同じ顔だったけど、聞きたいことはカラッとスッパリ言うのがこちら流。「Ja, Ja!」来たよ来たよ、と細かく頷きながら答えてくれた。

点検はスムーズで「もうほとんどミステリーなんだけど、あってはならないんだけど、どうみてもここの部品が欠けてるよね、なぜだろう」ということだった。部品をまたメーカーから取り寄せて、届いたらすぐ設置してくれるらしい。「でもなにしろWestdeutschlandから来るからね、ちょっと時間掛かるかも」と笑顔で説明された。

ありがとうに渡せるものがその日は見当たらなくて、東京からのお土産でいただいた葉巻型のクッキーを渡した。聞いてみたら、甘いものが大好きと言うから。

ロールカーテンはきっとなんとかなるだろう。洗濯機だって無事に届いた。新しい仲間が嬉しくて、用もないのに、おはようとかまた明日ねと言って様子を見る、張り切って洗濯をする。14年もすればテクノロジーの進歩はすさまじい。音も静か、時短プログラムも使えるようになった。これまでは最短で48分とか、当然かすかすになった。だから悪いことばかりじゃない、そんな季節。